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ガロンボトルビジネス最前線2011最終版

大震災に明け、その影響を被り続けた1年が終わろうとしている。今年は語り尽くそうにも尽くせない程多くの出来事が続いた。そこで、ガロンボトル2011最終版は、年後半の流れを「ブログ」に沿って再編集したもので締めくくることとする。

震災以降の問い合わせで弊社プラントの成約が相次いでいる。これは、単純に問い合わせ総数が増えたからではない。理由は以下の3つに要約できる。

1.震災で、関東圏より西に位置する人や企業が「所有する水源」を活用したいと考え始めた。

上記の事由は解説するまでもない。多くの方々が手持ちの水資源や身近にある天然水に着目した。そこで、その「水」をどのように「製品化」するか?ということになる。が、ほとんどの人にその知識はない。ご存知のように、日本のミネラルウォーターの大半は加熱処理をされてきた。だが、サントリーが精密ろ過を取り入れて以来、大勢に変化が生じている。とは言え、日本の設備屋さんは加熱処理しか知らない。許可を出す側の保健所も然りだ。そこで、設備屋さんは「常温充填(精密ろ過)は、クリーンルームやその他設備に大金がかかる」と言っては、高価な熱交換器やステンレスタンク等から成るプラントを薦める。保健所も「加熱処理であれば、(すぐ)許可を出せる」という対応をする。

だが、原水の水質検査で「飲用適」という結果を得られたものに関しては、弊社の開発したろ過ユニットが、もっとも「イニシャルコスト」も「ランニングコスト」も安い。弊社の場合は、そのろ過ユニットをどのように日常的に管理し、製造に供するかも心得ている。何と言っても25年以上の実績がある。その実績なしに、プラントをお勧めするわけではない。そこが、設備屋さんと違う点だ。ミネラルウォーターの製造業者が、自分たちの実績を元に作り出した設備だからこそ、単純さを極められる。そして、その単純さが設備の「安さ」を導きだす。

2.井戸水を原水とする。天然水を精密ろ過する。

「天然水の精密ろ過」を導入するとなると、弊社を置いてその手法を教えるところはない。それは、単に企業秘密という問題ではなく、他社には経験も蓄積もないからだ。

3.実質本位であること。

弊社は、ろ過ユニットの単純さをもとに洗浄充填機も製造室も作業性にいたるまで、一貫して簡潔さを追求してきた。管理も極めて簡潔に行える。それでいて、プラントの月間製造本数は1万5千本を裕に超える。そして、オリジナルで純国産だ。
産業は、製造業があって初めて動き出す。そのことを多くの人が再認識した。そして、「需要のある」商品を作り出す「手段を手に入れる」ことの重要性に多くの人々が目覚めた。その流れを今程感じたことはない。草の根が動き出した感がある。弊社は、その人たちにノウハウを含めて、伝授できる希有な存在だ。弊社を訪れる方々に、その点を見い出していただいている。

以上が、プラントの成約が相次いでいる要因だ。 

上記のように、「天然水の活用」という観点に草の根の人々が気がつき始めた。それが今回の流れの底流にある。人々にとって、大震災によって「水不足」が生じ、「海外からミネラルウォーターを緊急輸入」したことは、忘れられない出来事になった。「水」に恵まれた国が、「水」を輸入しなければならない「不条理」を見れば、誰もが「国内供給の在り方に問題あり」と思う。そして、「水」の自給の必要性を痛感する。自分たちの近くにある「天然資源」を役立てようと考えるのは、至極当たり前な成り行きだ。その点で、まずは「精密ろ過」を伝授できる弊社を見出していただけたのは正解だ。

その上で、私たちには「販売に関するノウハウ」や「アイデア」がある。私たちは、「水の良い地でも成り立つ水ビジネス」の確立を図ってきた。その群馬の営業に手応えと成果が出ている。残念ながら、このアイデアは、これから始めようと考える人たちには「突飛」過ぎるようで「なかなか」理解してもらえない。ただ、個人的には、この考えがいずれガロンボトルビジネスの本流になっていくという確信がある。そして、その確信を揺るぎないものとできるだけの成果を今年得た。それが、弊社にとって大きな自信となっている。

一方、地域を絞り込まない販売のアイデアも今年生まれた。それは、8リットルペットボトルを使うプランだ。こちらは、詳細については語らない。だが、弊社ろ過ユニットと充填機を使用し、別途リンサーを組み込む。製造に関しては、弊社の25年の実績を生かし切り、資材供給に関しても弊社が持つネットワークを最大限活用して、ボトル、キャップ、蛇口、サーバー等々の中の優れものや最新情報を余すところなく紹介していく。必要に応じて、販売に関してもアイデアを提供するが、このところ、この8リットルペットボトルプランのスマートさに惹かれる方々が多い。

大型容器での「天然水」供給に、二通りの手法を確立した。どちらの場合にもボトル、キャップ、蛇口、サーバー等関連商品の「充実」をいち早く取り込んでいる。その斬新さと合理性を合わせて発揮させていく私たちの姿勢は、今後共貫いていく。

誰にでも、「レシピ」通り作れば「おいしい料理が作れる」という本が売れていると言う。料理は作り手によって味が変わる。それこそ、作り手の経験やセンスによって味が変わるのは当たり前だ。だが、その当たり前に疑問を投げかけた人が居た。その人は、「経験やセンス」によって「一体何が変わるのか?」ということに真っ向から取り組み、それを解き明かしてしまった。
「経験やセンス」と思われたものは、料理の「スキルや手際」だった。たとえば、炒飯を作る。プロは中華なべを巧みに使い、米粒一つ一つを分離させるように火を通し、炒飯独特の食感を産み出す。それを、素人が普通のフライパンを使い、「火加減」と「時間」を制御して、同じような食感を作り出せるようにする。そのために、時間を掛け、失敗を繰り返し、「スキルや手際」を誰でもできる手法に置き換える。その地道な作業が、レシピ本に「命を吹き込んでいる」。

精密ろ過を含めた弊社のノウハウも、そのレシピ本に似たところがある。精密ろ過について言えば、ほとんど誰も経験がない。だから、それを始めたくとも、誰も教えてくれない。保健所としても、誰もが本質を理解しないまま、見よう見まねで始められては「困る」。だから、始めようとする人が「どれほどの理解を持っているのか?」「そのバックボーンとなっているモノは何か?」「その設備には、すでに実績があるのか?」「その設備の管理はどのように行われるのか?」等々を見定める。
結局、この点が許認可業務の「功罪」だ。製造者の頭が加熱処理やRO水から抜け出られないのは、設備業者の頭がまだ変化に適応できていないからだ。が、その流れは認可を出す側の保健所の対応にも影響を及ぼしてしまう。と言うことは、製造者と設備屋と保健所が「イチ、ニのサン」で一緒に動かないと、ミネラルウォーターの製法が改善や改良されることはないということになる。だが、そんな離れ業が、日本で自然発生することなどあり得ない。

そんな風土の中で、精密ろ過で「おいしい水」を作る方向に一歩を踏み出すためには、揺るぎのない「確信」がなければならない。私たちには、その「確信」とそれを支える「蓄積」とその「ノウハウ」を広めていくという強い「意志」がある。

草の根の人々が動き出さないと、世の中は変わらない。が、「水」に関しては、人々の「天然水」への回帰がうねりを開始した。私が、25年前に予期した「時節」が、目の前に降臨してきていることを感ずる。

私たちは、草の根の人々と共に歩む。何故なら、私たちの初心は「天然水道網の構築」だからだ。大企業による市場の寡占化が、いつしか草の根を封じ込めてしまっている。その挙げ句、中国が羨む「天然水の宝庫」である日本が、素性の知れない水までを緊急輸入した。その愚行を、多くの人が見ていた。そして、「同じことを繰り返させてはいけない」と痛感した人々が動き出した。

私たちは「水の世紀」を通して、なぜ?「水がすべての源」と呼ばれるのか?を理解することとなる。産業革命以降、私たちは「蒸気機関車」の如く「しゃかりき」になって前に進んで来た。だが、それ以前、私たちは「水がすべての源」であることを片時も忘れたことはなかった。たった200年の間の変質だ。この間に、人類はまったく異質な生き物に変貌を遂げてきてしまった。私たちは、不幸にもそのことに気付いていない。私たちは一つ間違えれば、「ノアの箱船」の世界に辿り着いてしまう可能性を目前にしているのに、そのことに気付いていないのだ。

私たちは、「あるものを活用」するという「基本」に立ち返る必要性に迫られている。それは、人間が人間の「知恵」を取り戻すことだ。私たちは、日本が持つ世界有数の「天然資源」すら活用できないようにしてしまっていた。大企業による寡占化が、結果的に人々の生活を痛めつけている現実が至るところで渦巻いている。その弊害は、草の根が覆していく他に術はない。 


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